

SCSパリレンは真空中に入れられるものであればどんなものにでもコーティングできるため、ときには
思いがけない用途が生まれることがあります。
タイタニック号の乗船券
1912年4月12日、大西洋を横断する処女航海に出たタイタニック号は
氷山と衝突し、多くの乗客とともに海底に沈みました。水深2,000m近い
海底からの遺品の引き上げは何度か試みられ、いろいろなものが
80年の歳月を経て引き上げられましたが、その中には乗船券などの
紙製品もありました。これらの紙製品は長い間、冷たい深海に沈んで
いたために、乾かした切符は手で持てないくらいに脆くなっていました。
これらを保存するためにSCSに声がかかり、ボロボロと崩れそうな紙製品にパリレン・コーティングを
施しました。パリレンはこのようなものでもコーティングができ、コーティング後の紙製品は手で触っても
崩れてしまうようなことはなくなり、多くの人が歴史の証拠品を間近で見、手で触ってみることができる
ようになりました。
パリレンは無色透明・極薄でコーティングをされているのがほとんどわからないため、文化財や絵画
などの保存にも使われています。パリレンが外気を遮断し劣化を防ぐとともに、展示・鑑賞に堪える
強度を保ちます。何百年を経た聖書や古文書がいくつもパリレンで保護・展示されています。
燃やされてしまった証拠書類
あるとき、脱税を調査している捜査官がSCSにやってきました。証拠の書類がすべて燃やされて
しまったが、灰は残っているとのこと、またこの灰には何を書いてあったかは残っているものの、
丸まってしまって広げられず、無理に広げるとボロボロに壊れてしまって読めなくなるとのことでした。
SCSではこの丸まった紙の燃え殻にパリレン・コーティングを行ないました。丸まった紙の燃え殻は
広げられるようになり、このかけらをジグソーパズルのようにつなげて燃やされた書類を解読し、
脱税の摘発につなげました。
鯨の生態調査
1996年、カリフォルニア州の海岸に迷い込んだクジラが打ち上げられました。サンディエゴ水族館が
このクジラを保護し、1年あまり飼育した後、もとの自然に帰すことになりました。そのときにクジラの
生態を調べるため、発信機をつけることになりましたが、この発信機はクジラの皮膚に取り付ける
ため、生体に悪影響を与えないためにステンレスにパリレン・コーティングをしたアンカーが使われ
ました。この発信機はクジラが呼吸にため水面に浮かび上がるたびにそれまでの潜水した水深や
潜水時間などを衛星経由でサンディエゴ水族館に送信し、貴重なデータを収集しました。そして電池の
寿命が尽きる18ヵ月後、発信機は自動的にクジラから切り離され、役目を終えました。
