


パリレン・プロセス
パリレン・プロセスは原料ダイマーから始まります。原料ダイマー
粉末は加熱室に入れられ、150℃に加熱して気化させます。気化した
ダイマー蒸気は熱分解室に導かれ、そこで約680℃に加熱されて
分解し、反応性に富んだモノマーガスとなります。このモノマーガスは
真空にした蒸着室を満たし、そこで常温の物体に接した表面で重合し、
分子量が50万にもおよぶ高分子のポリパラキシリレン、すなわち
パリレン・コーティングとなります。
原料ダイマー
コンフォーマル・コーティング
パリレン・コーティング膜はこのような方法で成膜いたしますが、この方法の大きな特徴として
コンフォーマル・コーティングができることがあります。通常の液体をもちいるコーティングでは
表面張力のため、いちばん損傷を受けやすい角部の膜圧が薄くなって保護特性に悪影響が出たり、
凹部には他の部分より厚いコーティングができ、乾燥時(溶剤系の場合)や冷却時(熱可塑性
プラスチックの場合)にストレスが集中するなどの弊害が出ることがありました。パリレン・
コーティングの場合、コーティングは常温で行なわれ、モノマーガスを導入して表面で重合が起こる
場合でも温度上昇は数度にとどまり、被コーティング材にストレスを与えることがありません。
パリレンのコンフォーマル・コーティングにはもうひとつ大きな特徴があります。被コーティング材を
真空中に入れ、そこにモノマーガスを導入してそのモノマーガスが被コーティング材に接したところで
重合・成膜するということは、従来の方法では不可能だった微細な隙間、細いチューブの中まで
コーティングができることです。また特定の点で被コーティング材を支持するのではなく、物体を
回転させながらコーティングを行なうタンブル法を用いることによって、ピンホールのない、完全な
連続膜のコーティングができます。これによってパリレン・コーティングは他に例を見ない信頼性の
高い保護コーティングを実現しています。
またパリレン・コーティングは溶剤などの薬品を使わず、熱硬化などの後処理も必要なく、
コーティング時に加熱することもないため、真空中に入れられるものであればどんなものにでも
コーティングが可能です。これまでにも手で持つことさえできないくらいの脆い古文書や文化財
などに強度を与えるためのコーティングなども行なってきています。

パリレン・コーティングでは
極薄ながら全面に均一な
コーティングができる。形状に
かかわらず、微細な隙間の
中なども均一にカバーする。
液体などをもちいる従来法の
コーティングでは、表面張力に
より凹部は厚くなり、コーティングが
ダメージを受けやすい角部が薄く
なる。また微細な隙間の中には
表面張力のため入ってゆかず、
隙間内は未コーティングのまま
残される。

パリレン・コーティング
液体によるコーティング