バリア特性・耐薬品性
バリア特性
 
SCSパリレン各グレードと一般的なコーティング材料を用い、ガス透過性と透湿性を比較したものを
 「バリア特性」に示します。パリレンは他材料と比べて低い透湿性をもっていますが、中でも
 パリレン
Cは 非常に低い値を示しています。膜厚を変えて 透湿性を測定しても、数値はほとんど
 変化しませんでした。

耐薬品性
 室温から
150℃までの温度域ではパリレンはすべての溶剤に対し、溶解いたしません。 しかし温度を
 上げた場合はグレードによって特定の溶剤に溶解する場合が出てきます。パリレン
Cはクロロ
 ナフタリンに
175℃で溶解しますし、パリレンNは同じ溶剤の沸点 (265℃)で軟化します。ただ、
 これらのケースはかなり特殊なものといえるでしょう。


熱・低温・真空特性
熱特性
 パリレン
Cは実験結果の外挿法から、空気中では100℃の温度で100,000時間(10年)の使用に
 耐えることが予想できます。酸素のない雰囲気や真空中、宇宙空間では
220℃の高温でも同様の
 期間、連続使用に耐えます。パリレンHTグレードは空気中でも
350℃という高温で、1,000時間
 (
40日)もの連続使用が可能です。どんな場合でも高温での使用はパリレンの寿命を縮めます。
 このような過酷な条件での使用を予定されているのであれば、実際の使用条件に近い条件で実際に
 試験されてから実用化されることをお勧めいたします。パリレンは熱処理をすることにより結晶度と
 密度が高まり、硬度が高くなって引っかき傷や磨耗に強くなります。

低温特性
 ガードナー鋼球落下衝撃試験において、鋼板に コーティングしたパリレンの
 室温での 衝撃耐性は
28.2Nmですが、液体窒素で-160℃に冷却した
 場合は
11.3Nmという 結果が出ています。50.8μmの単体パリレン膜を
 -165
℃で6回、180度に曲げても割れませんでした。 同様のテストは
 ポリエチレン、
PET、テトラフルオロエチレンでも行ないましたが、それぞれ
 3
回、2回、1回で破断しました。

真空特性
 ジェット推進研究所が行なった試験では、
1.3 x 10-4Paの真空中、49.4℃の条件では、 パリレンC
 質量減少は
0.12%、パリレンNでは0.30%でした

ISS

物理・機械特性
物理・機械特性の数値は下の「物理特性」にまとめてあります。パリレンは分子量が大きいこと、
結晶性が高くて融点も高いことから蒸着重合以外の方法では成型できません。また溶剤にもほとんど
溶解しないことから注型による成型もできません。

TaberCS17磨耗試験機(荷重1,000g)を使用した磨耗試験では、パリレンCでは22.5、パリレンN
では
8.8という結果です。ちなみにポリテトラフルオロエチレンでは8.4、耐衝撃グレードのPVCでは
24.4、エポキシでは41.9、ウレタンでは59.5となっています。

SCSパリレンはその製法から非常に薄い連続膜を形成できるのが特徴です。また真空中で蒸気から
重合するポリパラキシリレンのみで構成されるため、イオン性不純物等をまったく含みません。そのため
バリア性にすぐれ、また電気特性にもすぐれています。

光学特性・耐放射線性
光学特性
 
SCSパリレンは可視光線の波長領域ではほとんど吸収がなく、無色透明です。しかし 280nm近辺
 より短波長の領域では急激に吸収が増加します。

耐放射線特性
 
SCSパリレンはどのグレードも真空中でのガンマ線被爆に対して高い耐性をもって います。引張り
 強度 および電気的特性は時間当たり
16キログレイで累積1,000キログレイに達してもほとんど
 変化 しません。しかし空気中での被爆には急激に脆くなる脆化が起こります。パリレン
NCD
 室内での 使用では 問題ありませんが、屋外で紫外線に曝される用途はお勧めできません。
 パリレン HTでは屋外で
2,000時間紫外線に暴露しても特性の変化は見られませんでした。

特性
電気特性

薄膜絶縁特性
 
SCSパリレンを他のコーティング材料と比較した ものを下の
 「電気特性」 表に まとめてあります。 パリレンはエポキシ、
 シリコーン、ウレタンに 比べ、すべての 項目ですぐれています。
 絶縁破壊電圧を 膜厚を変えて比較試験した結果、
5μm以下の
 厚みにおいて パリレン
CはパリレンN よりすぐれています。
 パリレンは極薄の膜を形成できるのが特徴ですが、膜厚が
1μm以下
 になっても良好な絶縁 特性をもっており、単位厚みあたりの絶縁破壊
 電圧は、膜厚が薄くなるにしたがって大きくなります。

回路基板絶縁特性
 
MIL-I-46058Cに基づいて回路基板にコーティングを施し、MIL-STD-202耐久性試験を 行ない
 ました。この試験は
25℃、50%RHから65℃、90%RHまでを7段階のステップとし、 1日を1サイクルと
 して
10日間行ない、ステップの途中で測定を行なってゆくものです。コーティング厚みは2.54μmから
 50.8μmまで6種の厚みを試験しました。その結果、いずれの厚みにおいても要求基準に対し、一桁
 高い絶縁特性を持っていることが 確認できました。

Physical Properties
Barrier Properties
Electrical Properties

密着力
SCS
パリレンはもともと密着力にすぐれていますが、下地にシラン処理をすることで密着力を高める
ことができます。方法は一般的に行なわれているメタノール - 水の混合溶液に
A-174シランを溶解して
浸漬するものです。この方法はもともと電子部品のコーティング用に開発された手法なので、基板や
それに載っている電子部品の性能に影響が出ることはありません。液体への浸漬を嫌うものの場合
には蒸気でコートする方法もあります。