


月周回衛星「かぐや」 (SELENE)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2007年9月14日に打ち上げた
月周回衛星「かぐや」は月を周回する軌道に無事投入され、1年半に
わたって月表面の探査を行なうとともに、2個の子衛星を分離、
14種類のミッションを成功裏に完遂いたしました。最後は子衛星を月の
裏側に落下させて重力場を観測するとともに、主衛星も月表面に
制御落下させることですべてのミッションを終えました。この「かぐや」の
主要機器には信頼性を確実なものにするためにパリレンコーティングが
施され、アポロ計画以降最大といわれる月探査プロジェクトの成功に
大きな貢献をいたしました。



国際宇宙ステーション
SCSパリレンは宇宙の分野でも重要な役割をは果たしています。日本も
「きぼう」で参加している国際宇宙ステーションにおいては、その組み立てに
スペースシャトルのロボッアームが使われていますが、旧式のロボットアーム
ではシャトルの窓からの目視に頼って組み立てを行なっていました。最新の
システムではターゲットを自動的に追尾し、3次元映像を操縦士に提供する
ことによって、これまでよりはるかに正確にロボットアームを制御することが
できるようになりました。この制御システムの信頼性はSCSパリレン・
コーティングによって実現されています。
2007年9月14日に打ち上げられた日本の月探査衛星「かぐや」の観測機器にもパリレン・コーティングが
施され、信頼性の確保に貢献しています。
火星探査機・マーズ・グローバル・オブザーバー
宇宙へ打ち出される機器は打ち上げ時の強烈な振動と加速度、急激な温度の
低下と気圧低下に耐えなければなりません。特に温度低下と同時に気圧が
低下すると、電子機器にとっては致命的な結露を生じます。激しい振動によって
内部のチリやダストが電子機器に飛散し、影響を及ぼすことも考えられます。
このようなことから生じるトラブルを防ぐため、電子機器は何らかの保護
コーティングを施されるのが通常です。衛星はいちど打ち上げられると修理が
不可能なため、保護コーティングとしては最も信頼性が高いものを選択する
のが常です。そんなときパリレンが第一に選ばれます。パリレンが不純物を含まないため信頼性が
高いこと、他のコーティングのように硬化時にストレスを生じるようなことがないこと、そして重量制限の
厳しい衛星において、極薄ながら完全なバリアを形成するため、質量増加がほとんどないことが
選ばれる理由です。SCSでは火星表面探査カメラを含むマーズ・グローバル・オブザーバーの6種の
機器にパリレン・コーティングを行ないました。
イオンエンジン実験機 Deep Space 1
NASAは1998年に実験機Deep Space 1を打ち上げました。この実験機は
わずか重量わずか350kgあまりの小型の衛星ですが、多くの新機構を試験する
ものでした。最大のものはイオンエンジンで、不活性ガスをプラスに帯電させ、
電荷の反発を利用してイオンを放出し、その反動で加速するものです。エネル
ギー源は太陽電池を用います。推進力はわずか90ミリニュートンにすぎませんが、
真空・無重力の宇宙空間では数ヶ月連続して加速することにより最終的に大きな
速度を得られます。このDeep Space 1のイオンエンジンの心臓部といえるコリメーター
(イオンの流れを整えて推力を発生する部分)にはSCSパリレン・コーティングが施されています。